【薬理】睡眠障害治療薬 (催眠薬)

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目標:睡眠障害治療薬の薬理(薬理作用、機序、主な副作用)を説明できる。

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目次




睡眠障害治療薬 (催眠薬) [概要]

睡眠障害治療薬(催眠薬)とは、肉体的、外的原因ではない不眠を改善するために使用される薬物のことである。

入眠時間短縮、入眠後の覚醒回数の減少に効果がある。

以下、睡眠に関わる上行性脳幹網様体賦活系、脳波について解説する。

上行性脳幹網様体賦活系

上行性脳幹網様体賦活系とは、覚醒や睡眠に関連して活動する系のことを指す。

感覚刺激が多くのシナプスを介し脳幹網様体を通ることにより、大脳皮質への投射が起こり、意識水準を高める。

医学出版↗ BRAIN2012年6月号

呼称が「網様体」賦活系となっているが、ニューロンの細胞体の多くは網様体ではなく、軸索が網様体を通過するだけであることが明らかとなっている。

とはいえ、研究段階である為、現在も上行性脳幹網様体賦活系を呼ばれることが多い。

上行性脳幹網様体賦活系の活動減弱 → 睡眠

睡眠時の脳波パターン(α波、θ波、δ波)

脳波

https://www.waseda.jp/↗

~ノンレム(non-REM)睡眠~

  1. α波の減少
  2. θ波やδ波、睡眠紡錘波が見られる

図より高振幅徐波が見られる。

non-REM睡眠時、脳は眠っており、身体は起きている。

~レム(REM)睡眠~

non-REM睡眠を経て、REM睡眠に移行する。

急速な眼球運動(REMs)、筋の緊張低下、低振幅速波を主徴とする。

REM睡眠時、脳は起きており、身体は眠っている。夢体験。

催眠薬の分類・作用機序

催眠薬は大きく、ベンゾジアゼピン系薬、非ベンゾジアゼピン系薬、バルビツール酸系薬に分けることができる。全てが、GABAA系の抑制機構を亢進する。

~ベンゾジアゼピン系薬~

REM睡眠に影響を与えない。(利点)

  1. GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合
  2. GABAのGABAA受容体に対する親和性が増加
  3. Clチャネル開口によりClが細胞内に流入
  4. 過分極を引き起こす
ベンゾジアゼピン系薬の作用:視床下部~大脳辺縁系

~バルビツール酸系薬~

REM睡眠を短縮する。(欠点)

  1. GABAA受容体のバルビツール酸(ピクロトキシン)結合部位に結合
  2. Clチャネル開口によりClが細胞内に流入
  3. 過分極を引き起こす
バルビツール酸系薬の作用:脳幹網様体

ベンゾジアゼピン系催眠薬

ベンゾジアゼピン系薬の構造、分類

ベンゾジアゼピン系薬

ベンゾジアゼピン系の基本骨格

トリアゾラム

トリアゾラム

フルラゼパムの構造式

フルラゼパム

分類 ベンゾジアゼピン系薬物
長時間型 フルラゼパム、ハロキサゾラム、クアゼパム
中間型 フルニトラゼパム、ニトラゼパム、エスタゾラム
短時間型 チエノジアゼピン系(エスタゾラム、ブロチゾラム)、リルマザホン*1
超短時間型 トリアゾラム

1)リルマザホン:ベンゾジアゼピン系のプロドラッグ。体内でも代謝物が作用を発揮する。

ベンゾジアゼピン系:~ゼパム、~ゾラム、リルマザホン

ベンゾジアゼピン系薬の特徴

機序については上記を参照。

 特徴
  • バルビツール酸系薬とは異なり、REM睡眠にほとんど影響を与えない
  • 自然睡眠に近い
  • 安全係数大きい
  • 抗不安作用
  • 抗痙れん作用:全ての発作型に有効
 適応
 副作用
  • 薬物依存(精神・身体依存)、耐性:長期間の大量投与

 <短時間型・超短時間型>

  • 反跳性不眠:連用中止によって起こる。→退薬は徐々に行う
  • 前向性健忘:中途覚醒時の記憶が抜け落ちること

 <長時間型>

  • 持ち越し効果:薬物の効果が朝まで残り、ふらつきやめまいを生じること
 禁忌
  • 急性侠隅角緑内障:弱い抗コリン作用があるため
  • 重症筋無力症:筋弛緩作用があるため
※ベンゾジアゼピン系の解毒薬フルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)

ベンゾジアゼピン受容体のサブタイプ

  • ω1受容体:催眠作用
  • ω2受容体:筋弛緩作用、抗不安作用

ベンゾジアゼピン系薬は、ω1、ω2の両方に作用する為、非ベンゾジアゼピン系薬に比べ、筋弛緩作用が強い(副作用が強い)。

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬:ゾピクロン、ゾルピデム、エスゾピクロン

 ゾピクロン
  • 非選択的ベンゾジアゼピン系ω1/ω2受容体作動薬
 ゾルピデム
  • 選択的ω1ベンゾジアゼピン受容体作動薬
  • ω2受容体時激による筋弛緩作用が弱い(利点)
 エスゾピクロン

エスゾピクロン

  • 2012年より販売
  • ラセミ体(R体とS体)であるゾピクロンのS体エナンチオマー

非ベンゾジアゼピン系薬の覚え方:ベンゾジアゼピン系と混ざってしまいがちなので「ゾ」に注目し、覚えてみよう。ピクロン、ルピデム、エスピクロン

バルビツール酸系催眠薬

バルビツール酸系薬の構造、分類

バルビツール酸系の基本骨格

バルビツール酸系の基本骨格

チオペンタール

チオペンタール

フェノバルビタール

フェノバルビタール

  • チオペンタール:構造にS導入 → 脂溶性が増す → 組織への再分配
  • フェノバルビタール:構造に芳香基導入 → 抗けいれん作用を示す

分類 バルビツール酸系薬物
長時間型 フェノバルビタール、バルビタール
中間型 アモバルビタール
短時間型 ペントバルビタール
超短時間型 チオペンタール、チアミラール  全身麻酔薬参照

バルビツール酸系薬の特徴

機序については上記を参照。

 特徴
  • REM睡眠の抑制作用が強い(REM睡眠が短い)
  • 目覚めに不快感が残る
 適応
 副作用
  • 薬物依存(精神・身体依存)、耐性
  • 呼吸麻痺:延髄の呼吸中枢の麻痺
  • 振戦せん妄:アルコールと同様
  • 禁断症状:投与中止による
※バルビツール酸系の解毒薬ジモルホラミ(呼吸興奮薬)、炭酸水素ナトリウムNaHCO3(アルカリ尿にすることで酸性薬物を排泄)

その他催眠薬:ラメルテオン、スボレキサント、ブロモバレリル尿素

 ラメルテオン

ラメルテオン

  • 視交叉上核のメラトニンMT1/MT2受容体を選択的に刺激
  • 適応:不眠症における入眠困難の改善
  • 主にCYP1A2で代謝
  • フルボキサミンとの併用は禁忌
 スボレキサント
  • オレキシン1、オレキシン2受容体拮抗作用
  • 2014年承認
 ブロムワレリル尿素
  • 体内でBr-へ代謝後、Cl-と置換
  • 2017年より、重篤な副作用の項に依存性に関する注意事項が記載された

重大な副作用

依存性

連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、大量投与又は連用中の投与量の急激な減少ないし投与の中止により、まれに痙攣発作、ときにせん妄、振戦、不安感等の禁断症状があらわれることがあるので投与を中止する場合には、徐々に減量するなど、慎重に行うこと。

添付文書:ブロムワレリル尿素

エタノール

 

 特徴
  • 中枢抑制作用:エタノールそのものによる(麻酔とは異なる)
  • GABA受容体機能の増強
  • 体温低下:視床下部体温調節中枢抑制
  • 皮膚血管拡張(顔が赤くなる):アセトアルデヒド
  • 食欲増進:ガストリン分泌促進による
  • 利尿作用:バソプレシン分泌抑制による
  • アドレナリン遊離促進(副腎髄質)

エタノール特徴項目参考:薬学ゼミナール青本↗

 エタノールの代謝

エタノールの代謝

銀座東京クリニック↗

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