101回から適応の相対基準に関しての記事
➡ 【合格基準】第102回薬剤師国試の自己採218点で不合格。なぜ?
現行の国家試験でも「識別指数」を利用した補正がされています。
難易の補正については、現行どおり正答率及び識別指数の低い問題について、得点を調整する。
今回は、薬剤師国家試験に適応されている基準についてまとめていきます。
目次
薬剤師国家試験第97回、98回、99回、100回の合格基準
97~100回は全て共通の基準となっています。
以下のすべてを満たすことを合格基準とする。
1 問題の難易を補正し、計算して得た総得点65%に対応する実際の総得点以上の得点であること
2 一般問題について、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の35%以上であること
3 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の50%
以上であること
ボーダー225点で切っていることが分かります。
(注1) 問題の難易の補正計算とは、正答率及び識別指数の低い問題の得点を調整して計算することである。
(注2) 配点は1問2点(690点満点)
配点は1問2点として計算されていますね。
その中で、「不適切問題」と「補正問題」による加点が行われています。
識別指数を利用した補正値とは
※識別指数:問題が成績の良い受験者(成績上位25%の者)と悪い受験者(成績下位25%の者)とを効率的に識別しうる能力を表す数値。
問題が上位者、下位者ともに全員正答は0、上位者全員正答、下位者全員誤答は+1、また、上位者全員誤答、下位者全員正答は-1である。
これを見た時に、「あれ、+1、-1ってあるから、補正問題は3点や1点になるってこと?」と思った方がいるかもしれませんが、そういうことではありません。
識別指数は、あくまで「問題が適切か不適切か」を判断するために利用するもので、配点に変化があるわけではありません。
成績上位25%が正解しており、成績下位25%に誤答が多い問題
→「+1.0」に近くなる
→ 問題として良問
成績上位25%が誤答で、成績下位25%に正解が多い問題
→「-1.0」に近くなる
→不適切設問になりうる
上位者全員誤答、下位者全員正答は-1である。
上記のように、結果としてマイナスの値になった場合は、「不適切問題」を疑います。
実際にどの問題が補正されたか?その補正問題はどう対処されたのか?
これらは全て厚労省のホームページに記載がありますので、「この問題が配点3点かな?1点かな?」といった予測は無意味です。
補正対象は、97回と100回の2つ。対応は「全員正解」
識別指数を利用した「補正対象問題」と明記されたのは、97回と100回の2つです。
101回以降の相対基準ではそれが曖昧となり、ボーダー引き下げによって対応しています。
補正対象問題とは:問題としては適切だが、受験者の正答率及び識別指数等を考慮し、補正が行われた問題のこと。
97回→補正対象問題1問
取り扱い:補正対象とする。
どう対応されたか不鮮明ですが、初の6年制国試だったため、記載が曖昧だったと考えられます。
後の国試の「取り扱い」を見るに、全員正解として採点されたと考えていいでしょう。
100回→補正対象問題11問
取り扱い:全員を正解として採点する。
97回~100回までの不適切問題・補正対象問題のまとめ
97回:不適切問題2問、補正対象問題1問
98回:不適切問題1問
99回:不適切問題1問
100回:不適切問題3問、補正対象問題11問
以上、全て「全員正解」とし、総点225点ある場合に合格としている。
無理矢理ボーダーを225に持っていくことにより、合格者数の調整をしていますね。100回は補正対象問題を11題も出していることから、やはり難易度が高かったと分かります。
101回からは補正対象問題を出すのではなく、廃問とし、総点から除外した基準に変わりました。ですので、ボーダーが225の65%ではなく、年により変動してくる事になります。
102回の例はこちら
➡ 【合格基準】第102回薬剤師国試の自己採218点で不合格。なぜ?
今回の103回も相対基準ですので、ボーダーを下げてくると予想されますが、どこまで下げるかは厚生労働省の発表まで分かりません。
また合格基準に関する記事はまとめようと思います。