まずはじめに。
実習生の為に多くの時間をかけ準備して下さったり、実習期間の細かいスケジュールを作成して下さる病院や薬局がほとんどだとは思っています。
「薬学生にたくさん学んでほしい」
指導薬剤師であるならば、薬剤師の卵を大切にすべきことを理解している方が多くいるとも信じています。
しかし、私の行った実習先の病院は全くそんなことはありませんでした。
これは私に限った事ではなく、5年次に多くの学生も同じようなことで悩んでいたのです。
それを踏まえ、薬学部5年次に実施される学外実務実習において、学生視点から指導薬剤師の方々にお願いしたい事、気を付けて頂きたい最低事項を上げていきたいと思います。
指導薬剤師と合わない、等、性格的な問題に関しては今回は取り上げていません。
常識範囲内で改善できる内容です。
目次
薬学生の学外実務実習について
学生の分際で「気を付けてほしい事」って何だ?と思った先生方へ
大学側、すなわち学生の立場からすると、病院や薬局に「実務実習のお願い」をする立場ですので、薬剤師の先生方は「面倒を見てやるんだ」と思っている方が多いかと思います。
しかし、
学外実務実習で薬学生の受け入れを行うならば、責任を持ってガイドライン準じた指導を行って下さい。
受け入れ先不足は承知の上です。
しかし、満足な実習を行うことが困難であるならば、学生の受け入れは止めて下さい。
学外実務実習は、国家試験突破の為にも重要な期間となります。個々の実務先で差が出てきては困ります。
学生にも人生がかかっているのです。
薬剤師の先生方に意識して頂きたいこと
実習生の指導を手抜きしないで下さい。
前述したとおり、薬学生にも人生がかかっています。
私は、2ヶ月半の病院実習期間はほぼ放置された状態でした。忙しいことは分かりますし、私たちも付きっきりで実習させてくれと言っているわけではありません。
ただ、実習先には「薬学生受け入れ実習マニュアル」的なものが渡されているはずです。それがなくとも、ガイドラインはweb上で閲覧することが可能となっています。
受入施設について
実習生に不利益が生じないように、実習施設間の実習内容格差を無くすように努める。従って、全てのSBOsが実施できることが受入施設の基本的条件となる。
また改訂モデル・コアカリキュラムおよびガイドラインでは、集合研修(複数実習施設から実習生を集めて教室、研修室等において行う座学等による研修)や課題演習による座学は極力避けるよう求めている。
しかし、繰り返しますが私はほぼ放置されていました。本使っていいから勉強やっててね~適当に院内見学してね~昼食も適当に食べてね~
ずっと一人です。
朝礼と終業時しか言葉を交わさない日もありました。
昼食は一人で仕方ないとしても、実習と呼べる実習をさせてもらった記憶がありません。
「それでもこっちは忙しいんだよ!仕方ないだろ構ってられるか!」
こういう先生もいらっしゃると思うので、以下お金の話をします。
大学によっては、5年次生に課せられる病院・保険薬局での合計5カ月間の学外実務実習の費用(約65万円)や、この学外実務実習に行くための前提条件として4年次生が受験する薬学共用試験の受験料を別途徴収しています。
薬学部では、4年次に病院・薬局実務実習費(60~70万円を予定)を別途徴収します。
実習受け入れを行う病院や薬局は、学生一人につき、大学から最低10万円はもらっているはずです。タダで学生を見てくれ、と言っているわけではないのです。
お金が発生している以上、学生をずっと放置したり、「適当に院内回っていいよ~」が連日続くといった状況はおかしいと思いませんか?
ですので繰り返しますが、
「忙しいんだよ!」という場合は、学生の受け入れを拒否して下さい。お金をもらわないで下さい。
そちらの方が学生の為になります。
数年の空白がある学生への対応には気を付けて下さい。
私は国立大薬学部卒で、2年浪人、1年留年しています。
そこで、1日目に病院で自己紹介をした際に薬剤師の先生に言われた一言
薬剤師「あれ、3年間何やってたの?」
これです。1日目ですよ?(笑)
数ヶ月の実習を通し、少し話せるようになってきた上での話題であれば、私は何も思わなかったと思います。
ビッツ「2年浪人して1年留年したので」
薬剤師「へ~大変だったね。2年も浪人して何大目指してたの?」
この瞬間に私の病院実習は終わったと思いました。
現に、忙しいといって放置され続けていた為どっち道最悪でしたが(笑)
ここで、なんですが、
「浪人や留年したことは自業自得だから突っ込まれても仕方ないんじゃない?」
と思った先生がいらっしゃるならば、気づかぬうちに今まで関わってきた薬学生を傷つけている可能性大です。
確かに留年に関しては自業自得かもしれません。
しかし、実習先で言われなければならないことでしょうか?
これが就職面接で突っ込まれたなら仕方ないと思います。留年者や浪人者よりもストレート新卒者を取りたいに決まっているからです。
ですが、薬学部の学外実務実習は、5年次に行われると決まっています。
5年次、ですので、年齢は関係ないはずです。
30代、40代の方も薬学生として学外実務実習に出なければなりません。
これについては、周りで悩んでいる学生が本当に多かったです。
- 浪人した人
- 仕事をしていたが、薬剤師を目指し数年遅れて入学した人
- 留年した人
- 違う大学に行っていたが、中退して薬学部に入った人
など。
医学部と同様に、薬学部もストレートではない学生が沢山います。
私は国立大で留年したので特殊な方だと思いますが、私立大薬学部は半数近く留年させているところも多くあります。
第102回薬剤師国家試験の合格率ナンバー1のいわき明星大学は、留年率も薬科系大学の中でトップです。
以下、記事を参考にして下さい。
➡ 第102回薬剤師国家試験 合格率No.1の「いわき明星大学」
浪人・留年した経験がない方には分からないと思いますが、薬学生にとってはとてもデリケートな問題です。その辺は薬剤師である前に、一人の社会人として、人間として弁えて頂きたいと思います。
まとめ
Ⅰ.忙しいことは分かりますが、学生の完全放置はやめて下さい。
学生の受け入れを行う以上、責任を持って指導に当たって下さい。
薬学生は実習させていただく身ですが、大金を支払っています。
Ⅱ.空白の数年がある学生に対して、根掘り葉掘り聞かないで下さい。
浪人・留年・中退・休学等、とてもデリケートな問題です。
現在薬学部が6年制になり、人間関係の悩みも昔より増えていると思いますし、また留年者も増えています。留年だけではなく、何かしらの理由があり休学を選んだ生徒も少なからずいるはずです。
Ⅲ.家族やプライベートについて色々突っ込んでこないで下さい。
これは、私が医学部受験の為に浪人したという話から「両親は医師?」と聞かれただけかと思っていましたが、嫌な気持ちになったという学生が数名いました。
家族の仕事を、友人でもない薬剤師になぜ話さなければいけないのか?
また、彼女いるの?彼氏いるの?と聞かれた人もいるようです。大問題ですよ。
薬剤師の先生方から見て、変な実習生に当たり苦労された方も沢山いると思います。
しかし、私たちも同様に、常識のない指導薬剤師に当たって泣いた経験がある人が多くいることを知ってほしいです。
人として当然のことしか書いていません。
実習生受け入れに当たり、最低限 これだけは意識して頂きたいと思います。